ContractS開発者ブログ

契約マネジメントシステム「ContractS CLM」の開発者ブログです。株式会社HolmesはContractS株式会社に社名変更しました。

AI駆動開発で速くなった"その先"に何があるか — 「AI駆動開発 × アジャイル開発」参加レポート

はじめに

先日、レッドジャーニー主催のオンラインイベント「AI駆動開発 × アジャイル開発 〜生成AIでアジャイル開発はどう変わるのか?〜」に参加しました。

スピーカーはレッドジャーニーの田中基淳さん。AI駆動開発の「その先」について、ライブデモを交えながら語ってくれるセッションでした。

私はContractSのFDE(Field Development Engineering)チームでマネージャーをしています。チームではAIコーディングエージェント「Kiro」を日常的に活用しており、まさに実践者として共感する内容が多かったので、学びと実感を共有します。

ライブデモ:AIが実装している間に、人間は別のことをする

イベントの冒頭で、印象的なデモがありました。

あらかじめ参加者全員に共有されていた、イベント中に実際に使っていた質問投稿サービスに「いいねボタンを追加する」というシンプルな要求を題材に、AIに設計から実装、デプロイまでを任せるというもの。

面白かったのはその演出です。AIに指示を出した後、裏で設計・実装が進んでいる間に、田中さんは本編の資料を使ってAI駆動開発についての説明を始めました。そして説明を聞いている20〜30分の間に、実際に自分の手元のサービスにいいねボタンが追加されていた。

「AIが働いている間に、人間は別の価値ある仕事をする」——これはデモの演出であると同時に、AI駆動開発の本質を体現していました。

刺さったポイント①:バックログが枯渇する

セッションの中で最も刺さったのは、「開発が速くなった結果、次のバックログが枯渇していく」という指摘でした。

実装速度が上がるのは良いこと。でも「次に何を作るべきか?」の供給が追いつかなくなる。だからこそプロダクトマネジメント、仮説検証がより重要になる——人間がボトルネックになる、と。

これはまさに自分のチームで起きていることでした。メンバーがKiroを活用して自走できるようになり、生産性が上がってきたタイミングで、「じゃあ空いた時間で何をするか?」が次の課題として浮上していたのです。

私たちFDEは、CLM(契約ライフサイクル管理)プロダクトを顧客に提供して終わりではありません。プロダクトを使い続けてくれているお客様には契約データが蓄積されています。そのデータを分析し、ボトルネックを特定して改善提案を行い、より良い運用を一緒に作っていく。それがFDEの役割です。AIを使って現場の方が法務に頼ることなく自立して契約業務を回せる仕組み——その世界を目指して、顧客と伴走しながら仮説検証を繰り返す必要があります。

だからこそ、AI駆動開発で生まれた余力は「次に何を作るか」だけでなく、「顧客の課題解決に向き合う時間の確保」に直結します。速くなったこと自体がゴールではなく、速くなったことで生まれた余力を顧客価値にどう繋げるか。それがFDEマネージャーとしての本当の仕事だと改めて感じました。

刺さったポイント②:セーフティネットとしての自動テスト

もう一つ刺さったのは、AI駆動開発における「セーフティネット」の話です。

田中さんは、AIを暴走させないために必要な3つの土台を挙げていました。

  1. バージョン管理
  2. テスティング
  3. 自動化

特に自動テストについては「生成AIとは異なり、自動テストの結果は安定させることができる」という指摘が印象的でした。AIはハルシネーションを起こすことがある。人間も間違える。だからこそ、安定して品質を担保してくれる仕組みが必要になる。

私自身、ちょうどE2Eテストの環境整備に取り組んでいたタイミングだったので、「自分がやっていることは間違いじゃないんだ」と確信を持てた瞬間でした。AIに実装を委任すればするほど、品質を保証する責任の取り方が変わる。コードを書く責任から、テストを整備して品質を保証する責任へのシフトです。

マネージャー兼プレーヤーとしての実践

私はFDEチームのマネージャーでありつつ、一プレーヤーとしても開発に携わっています。そのなかで自然と辿り着いたのが、Notionに要件(何を実現したいか)を書き、Issueに実装の具体(どう作るか)を言語化して、実装自体はKiroに委任するスタイルです。

イベントで語られていた「補完から委任へ」という変化は、まさに日々実感していることです。マネジメント業務をこなしながらプレーヤーとしてもアウトプットを出すために、AIへの委任は不可欠になっています。マネージャーの仕事が「自分でコードを書く」から「AIが正しく動ける状態を作る」に変わっている。要件の言語化、テスト環境の整備、そして「次に何を作るべきか」の判断——そこに集中することが、AI時代のマネジメントなのだと思います。

おわりに

このイベントを通じて、AI駆動開発における2つの重要な問いを再確認しました。

  • 速くなった先に、何を作るのか?
  • AIに任せた先に、どう品質を保証するのか?

どちらも技術の問題ではなく、意思決定とマネジメントの問題です。AIがコードを書く時代だからこそ、人間が考えるべきことがより本質的になっている。そう実感できたイベントでした。

AI活用は待ったなし。セーフティネットを固めつつ、生まれた余力を顧客の課題解決にすぐ繋げていく。そのスピード感を持ってやっていきます。